ダブルクロス:ダイスペナルティとは何か/ダイス減少無効の範囲はどこまでか

 たみ「ダイスペナルティに関する記述がどこにも見当たらないんですが?」
 ルールブック編集者「あるぜ……ここにな(こめかみを人差し指で叩く)」

はじめに

 結論から言うとダイスペナルティとは「ダイスを減らす効果」の表記ブレであり、ルール上は完全に同一のものとするのが最も妥当だと思います。それが気に入らない場合は「ダイスペナルティ」という語を意味のないものとして扱うのがよいでしょう。

議題1 「No.93 守護天使」(LM p.107)の「ダイスを減らすペナルティ」や「No.HR30 発明品」(HR p.116)の「ダイスペナルティ」がよくわからないんだけど?

  • ダブルクロス the 3rd Editionにおいて「ダイスペナルティ」という語の定義は存在しない。よって、ルール上真に正確な運用をするのであれば「意味不明なテキストなので処理できない(無視する)」ということになる。
  • しかしながら、意味のないテキストは存在しないという理念に基づく場合この限りではない。文脈や近似のテキストから効果を導き出すのがいいだろう。そうすると必然「ダイスを減らす効果」のことであるとわかる。
  • ではこの表現に差はあるのか。ダブルクロスによくあるよくない話として「ルールブックごとのテキストの表記ブレ」があるが、やんぬるかな、“ダイスを減らす効果を受けない”「ストームワインダー」(HR p.87)、“ダイスを減らすペナルティを受けない”「必中の弓」(同 p.91)、そして先述の「発明品」がいずれも同じ『ヒューマンリレーション』に収録されているため整合性が完全に終わっている。理屈で言えば表記に差があるんだから処理に差がなければならないはずだ。しかしながら、その差が何なのかさっぱり読み取れないので、これについて考えることはおよそ現実的でない。
    • 具体的には、「ペナルティとは相手から受けるものであって《巨人の斧》(EA p.29)のダイス減少は違う」だとか、「《過剰収縮》で減るのはコストであって効果じゃない」みたいな“深読み”をしたとして、それを裏付ける論拠が全くないのである。これを掘り下げようとすると水掛け論になってしまうのであまりお勧めしない。同様に「受けない」と「打ち消す」も同じ処理とした方がよい。
  • なぜこのようになったかについては他のシステムや2ndのルールブックのノリでテキストを打ってそのまま通ってしまったのではないかという説が有力。ダブルクロス、新しいサプリメントになればなるほどルールがガバる。
  • 余談1:同じダブルクロスでも無印や2nd Editionにおいては「ダイスペナルティ」がルール用語として存在する。具体的にはダイス増加が「ダイスボーナス」、ダイス減少が「ダイスペナルティ」と表現される。ダイス減少を無効にする処理は「ダイスペナルティを打ち消す」というような表記。

壁歩き
(前略)[避け]の判定に受けるダイスペナルティを[LV+1]個打ち消す。(後略)
ダブルクロス The 2nd Edition』p.115

  • 余談2:英語版ルールブックにおいてはダイス減少効果が「dice penalty」と表記されている。2nd準拠なのか?と思いきやダイス減少無効は《Battle Instinct》が「negate all dice penalties」なのに対し《Calculations》は「Negate any dice-reducing effects」とか書いてあるのでやっぱりガバガバなのであった。

Giant's Axe
(前略)This attack's check will receive a -2 dice penalty.*1
『Double Cross Core Rulebook*2』p.109

議題2「ダイスを減らす効果を受けない」効果と《拡散する影》(RW p.44)や《過剰収縮》(BC p.57)を併用するとどうなるか?

 シンプルに「『減らす効果を受けない』のでダイスは減らない。減らなかったのだから『減らしたダイスの数』はゼロ、よって効果もゼロ」でよいものと考える。これが「ペナルティ」表記であっても同様。「ペナルティとは何なのか」については議題1のとおり“考えない”。
 《過剰収縮》がマイナーアクション、判定がメジャーアクションなので別個に処理するのでは?と思われる方もいるかもしれないが、メジャーの判定に影響する効果がマイナーで発生し、判定の後に攻撃力や達成値が適用される以上、マイナー時点で『減らしたダイスの数』は未確定であり『マイナーアクションの時点で達成値増加や攻撃力増加が発生してその恩恵だけを後で受け取る』ことは不可能に思う。表記も「減らした」と過去形であり、ダイスが減ったか否かを判断できるのはあくまで判定の後である*3。「判定ダイスを-LV個、攻撃力を+[LV*4]」とかだったらいけるんだけどね。
 ちなみに「差を読み取れない」という点で《巨人の斧》(EA p.29)や《クロスバースト》(EA p.109)のダイス減少も同様に「必中の弓」で無効になるとするのが無難。「ペナルティじゃないんじゃない?」というのは個人の感覚でしかないのだ。

コメント

 ルールブックの隅から隅まで「ペナルティ」の文字を探して読んだわけではないので、普通に見落としがあるかもしれません。あったら教えていただけると非常にありがたい。

*1:マイナス2のダイスペナルティって言われるとマイナスのマイナスでプラスか?と考えなくもない。2のダイスペナルティでいいと思うんだけどな。

*2:表紙開いてすぐのところにRolebookって書いてあるからシャレかな?と思ったら普通に誤植だった。

*3:未来の値を参照するのは無理があるという話は《災いの魔剣》の記事にも書いた。