《災いの魔剣》
基本情報
- 『レネゲイドウォー』(p.35)で登場したエフェクト。
公式裁定
- なし。
性能考察
- 貴重な係数10のエフェクト。しかも最大LVが5。HPが1になるよう失い、失った分を火力に変換する。
ルール考察
どのタイミングでHPを失うのか
ルールブック完全敗北シリーズ。他のHP減少系エフェクトのような「ただし、~」という注釈的な書き方でなく効果本文の冒頭に「あなたはHPを残り1点まで失う」と書かれており、「これで攻撃前に失うということが分かるだろう」と言わんばかりであるが、効果本文中にHP減少のタイミングが書かれていないメジャーアクションのエフェクトは、そのメインプロセス終了後にHPを失う/消費する(EA p.13)というルールがあるので、それに則ればこの「HPを失う」もメインプロセス終了後ということになる。
しかしそれはあり得ない。攻撃力が「失ったHP」を参照する以上、少なくともダメージロールステップ(R1 p.245)までにはHPを失っていなければならない。将来失う予定の数値を参照するという仮説も立てられなくはないが、「失った」とある以上それも苦しい。限りなく苦肉の策であるが、「HPを失う」側のテキストの不備ということにして、攻撃宣言ステップ中に《災いの魔剣》を使用した時点で即座にHP減少の処理を行うとするのが妥当だろう。そういう意味では誤植の一種とも言える。
ちなみにおかしい箇所はもうひとつあり、攻撃力を参照する値が[あなたが失ったHP]とあって、このエフェクトの効果で失ったHPとは書いていない。文脈で読み取れなくはないので揚げ足取りの領域ではあるが、この辺りのテキストもきっちりしてほしいものである。
以下のルール考察は、HPを失うタイミングが攻撃宣言ステップ中であることを前提としている。
「HPを消費する」他のメジャーアクションと組み合わせられるか
組み合わせられない。エフェクトの効果でHPを「消費する」場合、HPが0になるようにエフェクトを使用してはならない(EA p.13)ので、HPが1の状態でメインプロセス終了時を迎えることになるこのエフェクトとは併用できない。《鮮血の一撃》(EA p.47)や《ブラッドバーン》(EA p.50)といった優秀なエフェクトを使用できないのは結構厳しいものがある。
HPの消費に関する制約については今後個別記事を書く予定。なお、同様の理由で、「対抗種」(LM p.62)がこのエフェクトを使用するとHP1から-3されるためほぼ確実に戦闘不能となる。
「復讐者」(LM p.67)と併用できるか
「復讐者」のタイミングはダメージ算出の直前なので、上記のように攻撃宣言ステップ時点でHPが1になると考えれば問題なく最大火力を叩き出せる。実質[最大HP-1]の2倍のダメージが相手に与えられることになり非常に強力。
《雷鳴の申し子》(EA p.42)でも似たようなことは可能だが、《融合》(EA p.70)でも使わない限り併用できない。
「造血剤」(IC p.74)を使用した場合どうなるか
攻撃力が「失ったHP」を参照するため、「造血剤」でHPを失わなかった場合攻撃力も上昇しないとするのがよいだろう。
《ライトスピード》(EA p.77)等で同一メインプロセス中に《災いの魔剣》を2回*2使用した場合、攻撃力はどうなるか
普通、メインプロセス終了時に何らかのデメリットが発生するタイプのエフェクト(《電光石火》(EA p.76)等)は、一度のメインプロセスに複数回使用しても1回分しか適用されない(公式FAQ)ため、《ライトスピード》や《セレリティ》(LM p.117)と好相性である。
しかしながら……《災いの魔剣》は上にも書いたとおり即座にHPを失うという認識でしかテキストを成立できない。よってこのFAQの例外として、2度目のメジャーアクションの攻撃宣言ステップ時には既にHPが1になっている(=失うHPがなく攻撃力が上がらない)とするのがよいだろう。