ダブルクロス:《一閃》

《一閃》

基本情報

  • 『ルールブック1』で登場したエフェクト。『エフェクトアーカイブ』に再録されている。

公式裁定

Q:《一閃》のように移動を行なうエフェクトを使用した際、移動する距離を0mにすることはできますか?
A:可能です。ただし、移動の距離を0mにした場合、移動しなかったものとして扱います。
公式FAQより

性能考察

  • 全力移動を行ってから攻撃する。
    • 「タイミング:マイナーアクション」のエフェクトと併用できる点は《ハンティングスタイル》(EA p.60)のような移動エフェクトと同じだが、こちらはマイナーアクションそのものが空くため、マイナーアクションを消費する「高速振動ブレード」(R2 p.185)や「アームバンカー」(EA p.136)、「聖剣の王者」(RW p.55)といった白兵武器と相性がよい。また、移動と起点を同時にこなせる点も優れている。
    • 《伸縮腕》(EA p.67)や《フレイムタン》(EA p.108)といった射程延長系エフェクトと比べると、攻撃へのマイナス修正がない点が優秀。逆に劣る点としては、いかに全力移動であっても【行動値】が低い場合は射程に難がある点などが挙げられる。
    • ヴィークルに搭乗して使用すると毎ラウンドものすごい距離を移動しながら攻撃できる。

ルール考察

どのタイミングで移動するのか

 移動するタイミングは明記されていない。攻撃に使用する武器及び適切な攻撃対象を選択するタイミングは「攻撃宣言ステップ」であるが(R1 p.244)、エフェクトを使用するのもこのステップであり、このタイミングで移動が完了していないとおかしい。そうなると仮説としては以下の2つあたりだろうか。

  • ①《一閃》の使用を宣言した瞬間に移動が完了し、同じ「攻撃宣言ステップ」中に移動後の状況を反映した攻撃対象の選択が可能となる。
  • ②《一閃》を使用した瞬間、攻撃宣言ステップより前に全力移動を行っていたという事実が後付けで追加される。

 「攻撃を行う」の定義が曖昧であるためなんとも言えないものの、「全力移動を行なった後に白兵攻撃を行なう」とある以上攻撃宣言自体が移動より後にされていないとおかしいので、ルールを厳正に処理した場合②となる。なるが、①として運用する方がおそらく無難である。ちなみに「③《一閃》を使用した攻撃宣言ステップ中に未来の移動後の攻撃対象を選択できるようになり、移動自体はその後行われる」という説もなくはないが、こうなってくるともはや仮説の上塗りでわけがわからんので考えるのはやめた。
 ちなみに攻撃宣言ステップ中に移動を行うことによるルール上の問題はそんなにないと思われる。エフェクト同士の干渉として考えられるのはざっと以下のとおり。

  • 《一閃》による全力移動に《縮地》(EA p.98)を使った場合、命中判定ステップより前に侵蝕率が上昇するため、上昇後の値で判定を行うことができる。
  • 《一閃》による全力移動に《縮地》を使って侵蝕率が100%を超えた場合、同時に組み合わせたエフェクトのLVが上昇する。これによって新たに100%エフェクトが宣言できるようになるとは思わない(あくまで使用するエフェクトの宣言は同時であり、処理順が任意という解釈である)が、例えば《ヴァリアブルウェポン》(EA p.94)を組み合わせていた場合に、同じ攻撃宣言ステップ中なので攻撃に使用する武器を余計に1つ選択できたり、《スプリットアタック》(EA p.85)で追加でもう1体攻撃対象に選択できたりするかもしれない。
  • 《ブラッドウェブ》(EA p.49)の効果中に《一閃》で全力移動すると攻撃宣言ステップ中に戦闘不能になりうる。このとき《リザレクト》(EA p.129)すると侵蝕率が上昇し上記のような事案が起こる。また、《ラストアクション》(EA p.94)を使用すると攻撃宣言ステップ中にメインプロセスが発生する。
《一閃》と《縮地》

 移動に関するルールは全体的に言葉足らずであり、敵と同じエンゲージにいる場合など「移動が行えない」状況で移動の宣言をすること自体が可能かどうかはよくわからないのだが、《縮地》という「移動宣言に伴って離脱を可能とする」エフェクトが存在する以上、宣言すること自体は可能、と予想できる。
 では敵にエンゲージした状態で《一閃》を使用できるのか。上記公式裁定から移動距離を0mにすること自体は可能とあるため、移動部分のテキストを実質的に無効として処理をすれば可能だろう。
 では、敵にエンゲージした状態で、《一閃》と《縮地》を同時に使用した場合、離脱できるのか。これに関してはおそらく不可。何故なら《一閃》の「離脱できない」はルールでなく効果であり、《縮地》の「できる」があったとしても、それぞれの効果テキストに矛盾が生じないよう「できない」方に統一されるためである*1。このとき離脱をせずにその場に移動したら意味の分からん《バックスタブ》(EA p.102)が可能になるな……(参考: その場で《縮地》ってできるの? - Hide Left Hand )。

*1:いかなる場合でも「できない」が「できる」に優先する、みたいな明確な裁定は特にないが、それぞれのテキストを満たせるような処理をすると自動的にこうなる。