ダブルクロス:《リミットリリース》《コンセントレイト》のクリティカル値はいくつになるのか

 とあるYouTubeライブのチャットストリームで公式プレイヤーの方が「(クリティカル値は)5であってる」と発言していたのが(私の中で)話題になりましたね。

※公的な場での発言ではなく公式裁定とするのは無理があるため、あくまで「少なくともオフィシャルプレイヤーはその認識で運用してる」くらいの理解にとどめておくべきと考えます。最終決定権はあくまでGMにある。

※書いてて思ったけどどこかの公式リプレイでさらっとこの処理でやってたら笑う。そうなったらもはや公式裁定ですね。

問題

Q. 侵蝕率100%以上でLV4となった《コンセントレイト》を含むメジャーアクションの判定直前に《リミットリリース》を使用した場合、クリティカル値はいくらになるのか?(《リミットリリース》の下限値5は《コンセントレイト》の処理タイミングで有効か?)

A. 10から《コンセントレイト》の-4と《リミットリリース》の-1を合算し、《リミットリリース》の下限値を適用して、5になる、というのが一応の結論

状況整理

ただし、下限値の異なるエフェクトを組み合わせて使用した場合はより下限値の低いものを適用する。
また、他者からエフェクトを使用されてクリティカル値が下がる場合も、効果を発揮しているエフェクトの中でもっとも低い下限値を使用する。
(ルールブック1 p.186)

Q:クリティカル値が変化するエフェクトを複数組み合わせた場合、どのように処理すればよいですか?
A:まず、その判定に与えるクリティカル値への修正をすべて合計してください。その後、判定に効果を発揮しているエフェクトの下限値を確認し、もっとも低いものを適用してください。
Q:《コンセントレイト》4レベルを組み合わせた判定に対し、タイタスで「クリティカル値を-1する」を使用しました。この際のクリティカル値はどうなりますか?
A:タイタスの効果は、エフェクトによるクリティカル値が確定した後に適用してください。
 上記の場合、《コンセントレイト》の下限値は7ですのでクリティカル値が7。その後、タイタスの効果で1下がるので6となります。
 タイタスの効果によるクリティカル下限値は2ですが、それはエフェクトの組み合わせ時には適用されません。
(公式FAQ)

 ここで問題なのは「エフェクトを複数組み合わせた場合」という言い回しがダブルクロスにおける特定のルールを指す語なのか、そうでないのかという点。「エフェクトの組み合わせ」は『ルールブック1』p.252にあるとおり「タイミングと技能が同一のエフェクトを同じタイミングで複数使用する」ことを指す明確なルール用語である。
 《リミットリリース》は「タイミング:オートアクション」であり、“組み合わせて”使用する性質のものではない。そしてここに引用しているルール・裁定はいずれも「エフェクトを組み合わせた場合」の処理を示している。よってこれらの記述のみでは「できる」という明確な根拠にならない。
 一方で「できないと書かれていなければできるでいいのでは?」という理屈を打ち消すのがその下にあるタイタスに関する記述だ。これを見ると、例えば《コンセントレイト》であれば、あくまでメジャーアクションとして組み合わせたエフェクト同士の下限値及びクリティカル値減少を処理したのちに、「判定の直前」の処理をするのが正しい(あくまで「組み合わせ」は「組み合わせ」の中だけで一度処理を完結させる)、とも読める。いずれにしても、公式のルールブック及びFAQには決定的な証拠といったものが存在しない

好意的な解釈

 タイタスに関するFAQの記述のうち「エフェクトによるクリティカル値が確定した後に」という部分を好意的に解釈し、「ここでは組み合わせると書いていないのだから、エフェクトでさえあればすべて下限値を合計して処理を行うのが正しい」という結論を導くという考え方がある。ここで例として挙げられているのは《コンセントレイト》を組み合わせた場合の話であるため《リミットリリース》、即ち「組み合わせていない」場合にも適用されるという確たる論拠にはなりえない(“組み合わせた”エフェクトによる~という意味と取ることもできる)が、有力な説のひとつになっているものと思う。

邪推

 これは多少妄想の域に入っているが、そもそもクリティカル値を下げるエフェクトを“組み合わせる”意義が、この裁定が最初に発表された2011年環境においてきわめて限定的である。《コンセントレイト》と《マインドエンハンス》を組み合わせる状況などあり得るだろうか?探した限りでは《リフレックス》《破邪の瞳》がかろうじて該当するがこのためだけの裁定とも思えない。ちなみに『レネゲイズアージ』発売前であり、メジャーアクション版の《リミットリリース》と言える《病める探求》もまだ出ていない。
 よって、わざわざ複数のクリティカル値減少エフェクトを“組み合わせた場合”と書いてはいるが、実際には組み合わせる以外のエフェクトにもこの裁定を拡大適用できる、故に有効である、と考えることもできる。……というかルールブックに支援エフェクトの処理はきっちり書いてあるのになんでオートアクションは無視されてるんだろう。

その他

 ルール上の処理は5になるのがおおむね有力かなと思う一方で、想定された挙動ではないというか、デザイナーの意図する仕様からは外れているような印象もある。感覚的なものであるが、GMによっては違和感がある人もいるはずであり、そのあたりはうまくやってほしいと思う。