ダブルクロス:【同乗状態】がよくわからないんだけど?

はい、その通りです。

カッティングエッジ』で同乗状態を参照するエフェクト《破壊の戦車》がいきなり登場し世のヴィークラーたちを困惑の渦に叩き込んだことは記憶に新しいですね。でも同乗状態って何?

ヴィークルとは

 ヴィークルはアイテムの種類のひとつ。れっきとした攻撃手段であるにも関わらず『ルールブック1』(以下「R1」)では「スポットルール(p.259-)」という「戦闘の際に問題になりそうな細かいシチュエーション」とかいうコーナーに追いやられてしまっている。細かいシチュエーションも何も基本ルールやろがい。
 そもそも情報量が少ない。先述のコーナーにおいては、同乗状態も含め261-262ページの実に1.4ページ分くらいの情報しかない。公式FAQでも数件ある程度である。その数少ない基本情報をまとめてみよう。

  • 「ヴィークル」という種類のアイテム。武器や防具ではないが、搭乗することでステータスに各種補正がかかるほか、設定されている攻撃力を適用し武器として扱い攻撃を行うことができる。
  • ひとりのキャラクターはひとつのヴィークルにしか搭乗できない。バイクに乗ったまま電車に乗るとかはできない。
  • ヴィークルを所持している状態で搭乗を宣言すると、搭乗状態となる。搭乗の宣言及び搭乗状態の解除にはマイナーアクションを使用する。ただし「原初の混沌」等の効果で戦闘中にヴィークルを取得した場合には、即座に搭乗状態となることができる。(公式FAQ)。
  • ヴィークルを使用した攻撃は白兵攻撃となる。「白兵攻撃と射撃攻撃は組み合わせられない」ため、「リニアヴィークル」のようにRCで運転できるヴィークルであっても《雷の槍》のようなエフェクトと組み合わせることはできない(公式FAQ)。
  • 武器と違い射程の設定がない。同ページには「同じエンゲージにいるキャラクターに対して行なえ」とあり、つまるところ普通に使えば「射程:至近」になると言いたいのであろうが、この文章を厳密に適用するといかなる手段を用いても同一エンゲージ以外に攻撃が行えないことになってしまう。あまりないケースだが《影絵の兵士》や《タブレット》を使いたい場合には予めGMとのすり合わせが必要であろう。

同乗状態

 ただでさえ情報量の少ないヴィークル関連ルールにあってさらにアレなのが同乗状態である。要は相乗りするという話なのであるが。

同乗状態となっているキャラクターは一切の移動が行えなくなり、搭乗状態のキャラクターが移動すると自動的に同乗状態のキャラクターも共に移動する。
R1 p.261

 一文で矛盾している。たぶん“能動的に”移動が行えないということを言いたいのだと思う。《吹き飛ばし》とか食らった際に同乗者だけ吹き飛ぶかは微妙なところ。
 そのほか「何人まで同乗状態になれるかはGM判断」とか細部が丸投げだし、搭乗状態でない以上はヴィークルの装甲も何も適用されないし、「チェーンガン」のように搭乗状態を要求するアイテムも使用できない*1。どこに乗ってるんだ。ボンネットか?
 なお搭乗と同じく、同乗するにもマイナーアクションが必要。搭乗のルールにあった「取得時に即座に乗れる」システムが適用されるかは……どうだろうな……。

活用法

 同乗すると搭乗者と同乗者が常に同一エンゲージで移動することになる。同乗者が《ファンアウト》を使用し搭乗者を移動させると、ふつうは自身に使用できないところが便乗して動けるという謎の面白テクニックがある。そのほか、カバーを行う白兵キャラがカバー対象を同乗させて移動することにより、行動値によるエンゲージ分断を避けることができる。
 搭乗はひとりにつきひとつしかできないが、ひとりにつきひとつにしか同乗できないとは書かれていない。よって、搭乗状態のまま他人のヴィークルに同乗することが可能である。行動値に激烈なマイナス修正がかかる「スチールギガント」に搭乗したPCを「FHブレードバイク」で悠々と運んだりできるかもしれない。

移動制限と同乗状態

 ヴィークルによっては搭乗している間飛行状態になれるものがあるが、上記のルールを鑑みるに、同乗者には適用されない(引きずられているのか?)。搭乗者が移動した際に地上にいるエネミーのエンゲージを横切った場合やエンゲージを離脱したい場合、同乗者が引きずりおろされるか否か。また、同乗者が硬直のバッドステータスを受けている場合、搭乗者に追随しての移動は可能か。
 ダブルクロスに限らず、多くのゲームにおいて「できる/する」と「できない」がぶつかったとき、一般に「できない」が優先される。この場合、いかなる状況においても同乗者は搭乗者と一緒に移動するとは定義されていないため、一見すると「移動できない」ように思える。
 そこで、そもそも移動とは何かを考えてみよう。「移動とエンゲージ(R1 p.237)」の項にはこうある。

移動方法にはマイナーアクションを使う[戦闘移動]と、メジャーアクションを使う[全力移動]の二種類が存在する。

 これは明らかな情報の欠落で、戦闘移動でも全力移動でもない移動は存在する。するとどうだろう。本項で説明されているのがこの2種のみである以上、ここにあるエンゲージの制限に関する記述もまた「戦闘移動」「全力移動」にしか適用されないと言えるのではないか。この仮説を踏まえて先ほどの同乗状態の文章を見ると、「一切の移動(=戦闘移動および全力移動)が行えなくなり……共に移動(=戦闘移動でも全力移動でもない)する」となり矛盾がなくなる。公式FAQにも「《妖の招き》による移動は離脱でなく封鎖の影響も受けない」という記述があり、この説の正しさを補強してくれる*2
 よって、戦闘移動でも全力移動でもないヴィークルに付随した同乗状態での移動は、硬直やエンゲージの影響を受けない、というのが当面の結論である。

*1:公式FAQには「GMが認めれば可」とある。

*2:その割には《斥力の鎚》のテキストに「離脱を行なえる」とか書いてあるけども。