ダブルクロスにおける人外キャラ:EXレネゲイドとレネゲイドビーイングの違い

レネゲイドビーイング(以下RB)はダブルクロスの中でも人気のあるワークスだ。《オリジン:●●》はどれも強力だし、設定もかなり自由に組むことができる。しかし、いざ作ろうとしても、肝心のRBとしての設定は軽視されがちである。そもそもRBとは何なのか?また、サプリメント『カオスガーデン』を導入することで作成することができるAオーヴァードとの違いは何なのか?今回はそれについて語っていきたいと思う。

レネゲイドビーイング

レネゲイドビーイングはルールブック2から作成できるキャラクターデータである。基本ステージで作成できる一般的なワークスで、作成時にいくつかのエフェクトを追加で自動取得するなどの特徴がある。
R2の202ページにはこうある――「レネゲイドビーイングとは、その名の通り、レネゲイドウィルスそのものが、高度な知性と明確な意識を持ち、一個の生命として活動しているものを指す」。
その特徴はざっくり以下のとおり。

  • 人間とコミュニケートできる知性を持っており、「人間を理解したい」という欲求がある。
  • 人間の姿を取ることができる。
  • 自分自身をレネゲイドの一種だと自覚している。
  • 発生(≠感染)する元となったもの(オリジン)が存在し、それによって形態が変化する。
  • 通常の独立した個体のほか、何らの媒体にとりついた「支配型」や生物に寄生して共生する「協力型」などの特殊な形態が存在する。

特にこのオリジンという概念が曲者で、ありていに言ってしまえばどんなキャラクターでも作成できることになる。現代に蘇った織田信長や伝説の刀剣に宿る魂のような存在、幻獣、神や悪魔のような存在すら作成可能だ*1。また、霊魂や電子データといった情報を読み取りそれらの記憶を有したレネゲイドビーイングも存在する(あくまでウィルスなので、幽霊のオーヴァードとはちょっと違う)。

EXレネゲイド(Aオーヴァード)

対して、同様にルールブック2に収録されているにも関わらずいまひとつ知名度が低いのがEXレネゲイドだ。これはEXレネゲイドなんて書き方をしているからわかりづらいのであって、要するに人間以外のオーヴァード全般のことである。216ページには「自我の差である」なんて投げやりな区別が書かれてしまっているが、本当はもうちょっとちゃんと説明できるんじゃないかと思わないでもない。
鉱石や武器といった非生物もEXレネゲイドとなるため、キャラクター以外のEXレネゲイドも多く存在する。【秘密兵器】で手に入るアイテムや【賢者の石】などはこれに該当する。もちろん、場合によってはひとりでに動く剣や石のEXレネゲイドのキャラクターも存在する……PCとして作成するルールはないが*2

AオーヴァードはEXレネゲイドの一種であるが、自我を持っている、コミュニケーションが取れるなどの特徴がある。これはキャラメイクにあたり必要最小限のシナリオ進行能力が必要であったためであろう。

まとめるとこんな感じ。

自我 人間レベルの意思疎通 人間形態 自律行動
RB ウィルス できる 取れる できる
EXレネゲイド 元々のものか、自然発生(ないものもある) できるとは限らない 取れるとは限らない できるとは限らない
Aオーヴァード 元々の動物 できる 取れるとは限らない できる

RBとAオーヴァードで迷ったら、元々が動物であるか、ウィルスであるかに気を付けておけばよい。

その他の人外ワークス

ステージデータになってしまうが、レネゲイドビーイングでもAオーヴァードでもない非人間キャラクターを表すワークスも存在する。

ダークワン――『ウィアードエイジ』『モダンタイムス』

吸血鬼、人狼、半魚人など「人ならざる闇の存在」を表すワークス。これらのステージが1920年代が舞台であることを考えると、彼らのようなゴシック・ホラーめいた種族が闇に潜んでいたという世界観はうなずける気がする。

幻想存在――『ホーリーグレイル』『エピックヒーローズ』

妖精やドラゴン、巨人などの幻想的な存在を表すワークス。Aオーヴァードの「幻想動物」と似ているが、こちらはレネゲイドビーイングの作成ルールに従うという注釈がある。彼らもまた何らかの伝承がもとになった存在なのかもしれない。

物の怪――『平安京物怪録』

ワークスの解説欄に「死霊・生霊。邪気、バケモノ。」としか書かれていないあんまりなワークス。つまるところ妖怪とかその類。ざっくりしているためわりと何でもありと思われる。また、ステージ専用エフェクトに《生霊化》というものがあり、なんと霊のPCも作成できる。

メモ

キュマイラの《完全獣化》《眠れる遺伝子》なら元は人間だが獣の形態をとることができる。またオルクスであれば《アニマルテイマー》で自身の意志を宿した獣をシーンに登場させることもできる。ブラックドッグやモルフェウスならロボと言い張れないこともないし、ブラム=ストーカーで吸血鬼のようなキャラを作ることもできる。この辺りは通常ステージでもR1R2でもできるので工夫次第でいくらでも作れる。
そもそもワークスって職業であって種族ではないので、全く関係ないシンドロームでも犬の警察とかロボの支部長とかGMが認めさえすれば作れる。作れるが、世界観ぶちこわしになったり、上記ワークスやシンドロームのの意味が薄れてしまう可能性があるため、上級者向けのテクニックであると言えよう。用法容量を守って正しくお使いください。

*1:特に神に関しては【神格】というそのものずばりのDロイスもある。

*2:UGN支部長とかでごり押せばできなくはない。後述。