ダブルクロス「上遠野卓」に参加して

ダブルクロスを「上遠野作品の世界観」ステージでプレイする機会がありました。そのときの感想など。<!>テキストセッションだったので、ログがすべて残っています。GMのどっぱん氏に感謝! → ダブルクロス上遠野卓ログ前編 後編

また見学者用の窓を観客席として設置していたのでそこのガヤとかのログも残っています(リンク先のブログをたどってくれ!)。

※上遠野作品……『ブギーポップ』シリーズや『事件』シリーズで知られる作家、上遠野浩平氏の一連の作品のこと。一部世界観が共通している。一定の世代のオタクなら「ブギーポップ」という名前くらいなら聞いたことがあるかもしれない。

※ステージ……つまり、UGNもFHも存在せず、なんならレネゲイドウィルスすらなく、ダブルクロスなのはシステムのみであって、あくまでその世界観に則ったステージセッティングでゲームを行うということ。仮面ライダー卓とかできるかもしれない。

私と上遠野さん

 そもそも私は上遠野浩平という作家をよく知らなかった。通過儀礼的なアレでなんとなく『ブギーポップは笑わない』は読んでいたが、なんだか視点がめまぐるしく変わる作品だなあ、というくらいの印象だった。では何故「上遠野卓を開く」と聞いたときノータイムで参加したのか?ダブルクロスがプレイしたかったからである。あとはタイムラインに熱心なファンがいるのと、誕生日がたまたま同じという情報を得ていたというのもある*1

 タイミングがよかった、というべきだろう。話が持ち上がったとき、ちょうど私はうっかり買ってしまったKindle Paperwhiteのやり場に困っていたのである。とりあえず読んでみようと手を伸ばした『エンペロイダー』は3巻だった*2。買ってしまったものは仕方がないので、1巻と2巻を買うことにした。思わぬホットスタートであった。

 あれよあれよという間に『殺竜事件』を読み、2000年の作品であるということに衝撃を受けた。なるほど、嵌まる人が出るのもうなずける。気付いたら、セッションまでの一ヶ月弱で10冊超の上遠野作品を端末にぶち込み、読み漁っていた。携帯端末だと移動中とかに読みやすかったというのもある。

 そう、私はすっかり彼らの――おそらくは上遠野作品を世に広め世界を裏から牛耳ろうというシステムの――思う壺だったのである。

上遠野卓レポ

 テキストチャット形式でセッションをしたのは実はこれが初めてである。時間がかかるだろうな、くらいの印象だったが、果たしてそうだった。しかしそれを差し引いてなお大変なことがわかった。ものすごくPCの描写のテンションが上がるのである。これはいくら饒舌であろうともボイスセッションではなかなかできないことだ。

 ダブルクロス経験者であるのをいいことに、わりとやりたい放題やった。今思うと突っ走りすぎなんじゃないかと思う。他の人もかなりテンションが高かったので、描写がたいへん重厚になり、結果として時間を大幅にオーバーし前後編になったのも今ではいい思い出である。

 何よりうれしかったのは、私の作ったキャラクターを「かっこいい」とか色々コメントしてもらえたことだ。こういう経験はなかなかできない。そもそも普通のセッションに観客はいない。今回は上遠野作品のファンが多く揃い、様々な条件が噛み合ったからこそ、観客アリ、参加者もハイテンション、かつムードをぶち壊さないどころか世界観にどっぷりというエンターテイメント性溢れる卓が爆誕してしまったのである。既存作品ベースのステージというダブルクロスの新たな可能性も垣間見えた。

 ……いや、ホントこれにつきる。何せ「ダブルクロスと親和性がある作品」を好きな人が複数人集まり、しかもダブルクロス(TRPG)に興味があって、プレイできる環境が整っていて、且つ日程調整もできたというのは、ちょっとすごいと言わざるを得ない。改めて感謝である。

まとめ

 相当数作品を読んでおいて言うのもなんだが、上遠野作品(の一部)は結構クセがあると思うし、好みもあるだろう。だから無理に勧めることはしない。ダブルクロスも同様だ。しかしその両方を知っていたからこそ、経験していたからこそ、こういった類稀なる巡りあわせに出会えることもあるのだ。

 このところTRPGに関するハードルは少しずつ下がってきているように思う。興味があるならば、迷うことなくチャレンジしてみるべきだ。世の中の大抵のことは、面白くなければそれでよし、面白ければハマるようにできているのだから。

*1:私にそれを伝えた当の本人はその事実をすっかり忘却の彼方へ消し去っていたのだが。

*2:amazon電子書籍は頭に<1>とか書かれているがそれは単なる並び順で巻番号ではないのである。それを見間違った。