運転と《ヴィークルモーフィング》、モーフィングロボについて

ヒューマンリレーション収録の「デモンズシード」の登場で、DロイスやLV上昇エフェクトに依存せずに《ヴィークルモーフィング》でモーフィングロボを作成することが可能となった*1。ここで改めて種別:ヴィークルのアイテムおよび技能の<運転>を使用した攻撃について考察してみよう。

<運転>はスポットルール

 <運転>については以前の「白兵攻撃と射撃攻撃」でも触れたが、しっかりとした攻撃方法のひとつであるにも関わらずルーリングが極めて雑で、ルールブックの中でもスポットルール(R1 p.259-)の項に書かれているという体たらく*2。デザイン的には<白兵>や<射撃>と大差ないはずなのだが……。
 ここでは「搭乗状態」と<運転:>技能を用いた攻撃方法について書かれているが、「搭乗状態になることがアイテムの使用に当たるかどうか*3」ついての説明がない。これはGM判断とすべきだろう。私個人としては「アイテムの使用・装備にあたらない」*4としてよいと思う。
 なお射程については「同じエンゲージにいるキャラクターに対して行え」とあり「射程」としての記述がないが、R1 p.174のアイテムデータの見方の項目の「射程」の「至近」に関する説明に似た文章が書かれているので、これは「射程:至近」であると読み替えてもよいと私は判断する。*5

タブレット》と《影絵の兵士》とヴィークルの射程

 DX3の大前提ルールとして「攻撃はエフェクトのうち最も範囲が狭く射程が短いものを適用する」「エフェクトの効果は装備に優先する」というものがある(R1 p.254)。一方で、武器の範囲を変更する効果はエフェクトには及ばないという裁定も下っている(公式QA:PDWの項)。「射程:-」のエフェクトのみと武器を使用して攻撃を行った場合、射程は武器のものを使用するとある(公式QA)が、これを逆説的に捉えるならば「射程:-」および「射程:視界」のエフェクトのみと武器(ヴィークル)を使用して攻撃を行った場合、「射程:視界」になると言えないだろうか。
 実は長らく「エフェクトの射程変更」と「攻撃の射程変更」は別モノだと思っていて、《伸縮腕》や《影絵の兵士》は「攻撃」の射程を変更するから「射程:至近」の武器を使用していても変更されるが《タブレット》はあくまでエフェクトの射程を変更するだけだから《アドレナリン》と組み合わせても射程を伸ばせない……と考えていた。しかしそれを裏付ける公式の文書は存在せず、むしろ行間を読み取ったらなんだかできそうな気がしてきたので、現時点の私の中では「できる」と結論付けておこうと思う。違うと思う或いは異なる挙動をする公式のテキストがあればぜひ教えていただきたい。煽りとかではなく。

シンドローム別評価

 ざっくりまとめると、ブラックドッグ(《鋼の馬》)、ハヌマーン(《電光石火》)、モルフェウス(《巨匠の記憶》)、オルクス(《ナイトライダー》)、サラマンダー(《炎神の怒り》)、ソラリス(《アドレナリン》)、ウロボロス(《無形の影》)など。ブラム=ストーカーは従者に運転させられたり、ノイマンは《スキルフォーカス》が使えたりと微妙な組み合わせもあるが、およそ実用的でないと思われるため除外する。
 なおこの記事はモルフェウスおよびウロボロスによって作成したモーフィングロボを前提としているため他のヴィークルを使った無限の可能性はこの際排除する*6

モルフェウス

《ヴィークルモーフィング》を使うなら(ウロボロスを除き)必須。情報収集にも使える最強エフェクト《巨匠の記憶》で<運転>する。《砂の結界》でカバーリング、《クリスタライズ》で攻撃、《サポートデバイス》でダイス増加など本家ヴィークル使いだけあって使い勝手がよい。マイナーで移動できるエフェクトがないので、ピュアにする場合は一般エフェクトから《クイックダッシュ》か《スーパーランナー》を取得する必要がある。《スプリットアタック》で複数体攻撃も可能。

ブラックドッグ

《鋼の馬》で<運転>、《イオノクラフト》で移動、《マグネットフォース》でカバーリングが行える。サラマンダーとエフェクト配分が似ているが、こちらは汎用寄り。目立った火力エフェクトはないが《MAXボルテージ》《ポルターガイスト》で後押しができるほか、《ハードワイヤード》でステータスの底上げができる。大技がほしいなら雷帝専用の《ミカヅチ》など。

ハヌマーン

《電光石火》で<運転>、《影走り》で移動、《さらなる波》で地道に攻撃力を上げることができるが、何より《マシラのごとく》をはじめ《ライトスピード》《スピードフォース》といった1回きりの必殺技が目を引く。変わったところでは変異種専用の《クロックアップ》なんかも使える。フレーバー的に壁や水面を走れるヴィークルが作れるのもポイントかもしれない。

オルクス

ナイトライダー》で<運転>ができるが組み合わせられるエフェクトがあまりない。《アニマルテイマー》はややオーバーだし、《要の陣形》《完全なる世界》くらいか。能力値も【肉体】寄りとは言えないので<運転>に使うなら上級者向け。《妖精の手》をはじめとする技能を問わないサポート系エフェクトをうまく活用したい。
 特筆すべきは専用ヴィークルであるところの「絆の愛馬」である。性能は凡だがフレーバー的には楽しい……かもしれない。

サラマンダー

《炎神の怒り》で<運転>、《氷の回廊》で移動、《炎陣》でカバーリングが行える。ブラックドッグに比べ攻撃的なエフェクト配分が特徴で、《クロスバースト》や《終末の炎》、Dロイス専用の《エターナルブレイズ》など高倍率の火力が目を引く。《氷盾》による堅実な守りもあり直球では一番タフかもしれない。

ソラリス

《アドレナリン》で運転、《タブレット》で射程を視界に伸ばして《多重生成》で複数体攻撃を行えるダークホース。お世辞にも能力値は【肉体】向きではないがポテンシャルは高い。《オーバードーズ》《キリングパフューム》といった必殺技にも可能性を感じる。
 ただ《アドレナリン》で多少カバーできるとはいえモルフェウスとクロスさせると1/2/1/4という地獄めいたステータスとなりかといってトライにするとロボが作れないので、おとなしくキュマイラかサラマンダーあたりとクロスにして秘密兵器でフォールンヴィークル(フォールンマシン)を取るのがおそらく丸い。
 なお《増加の触媒》という「射撃攻撃を行わないのエフェクト」を持っているため、リニアヴィークルをエフェクト付きで運転できる数少ないシンドロームでもある。

ウロボロス

《無形の影》で運転、《影絵の兵士》で射程が伸ばせるほか、他のシンドロームとの組み合わせで文字通り無限の可能性を秘める。能力値も悪くない。また、モルフェウス以外で自前でモーフィングロボを作れるシンドロームでもある。
 夢は広がるが基本のコンボに6(8)点も使うので燃費の悪さが気になるところ。普通に使っても他の劣化になりがち。ウロボロス固有のエフェクトで特筆すべきは高火力の《極光螺旋》と堅牢な《雲散霧消》辺り。あとは《無形の影》+《影絵の兵士》+《原初の赤:要の陣形》で視界3体攻撃などウロボロスにしかできないプレイングが好ましい。

番外編:キュマイラ

 運転はできないが【肉体】および白兵攻撃へのメジャーアクション以外のサポートが豊富。《フルパワーアタック》や《ターゲットロック》からの《攻性変色》は倍率が高く優秀で、GM次第だが《完全獣化》してもいいかもしれない。【肉体】の能力値も高い。

番外編:バロール

 同じく運転はできないが《孤独の魔眼》《時間凍結》《時の棺》といったメジャー以外の搦め手が強い。同様の理由でノイマンもある程度使えるかもしれない。

まとめ

 いかがだっただろうか。ダブルクロスサプリメントの度重なる発売で正直突き詰めればきりがないところまで来ている。適当にエフェクトアーカイブをめくるだけでもコレなので、ユニバーサルガーディアンなどのアイテムをイチから見直したらそれこそ更なる組み合わせが発見できるであろう。
 そして何より……ロボはカッコイイ。カッコイイは正義なのである。データもそうだがフレーバー面にもこだわりたいところ。侵蝕率でLV4→LV5となりロボが作れるようになるタイプのキャラだったら車からロボへ超速変形する、といった具合に自分だけの最強のロボを作ろう!

*1:LV4→侵蝕率100%以上でLV5。

*2:カバーリングという超重要ルールもここに書かれているのでそもそも優先順位がおかしいという説もある。

*3:《完全獣化》との兼ね合い。

*4:つまり《完全獣化》中でもバイクに乗ってよい。フレーバー的には不適切かもしれないが、テキスト上は可能と思われる部分を優先した裁定である。

*5:つまり、射程を変更する効果の対象となりうる。

*6:理論上は蛇王の外套で《原初の青:ヴィークルモーフィング》を取得すればすべてのシンドロームでロボが作れる。