アマデウス体験版プレイ感想

12月19日に正式に発売する新しいTRPGアマデウス』の体験版が公式サイトにあったので、5人でプレイしてみました。その感想とゲームシステムの紹介。

意外とハードルは高くない

冒険企画局といえば簡単にプレイできるサイコロ・フィクションシリーズが有名だが、『アマデウス』は『シノビガミ』などと同様「サイフィクを発展させた」感じのシステム。基本判定の概念がなく目標値に対して能力値を反映させたダイスを振るだけなのでとってもシンプル。それでいて後述の「インガ」を用いたシステムなど奥の深さもあり飽きの来ないつくりとなっている。製品版でのキャラクタービルドが今から楽しみだ。

能力値の表記はアルファベットがダイス数、プラスの数が固定値となっている。得手不得手が視覚的にわかりやすく、右側に実際に判定に用いる値が表示されているので迷うこともない。

インガシステム

このゲームを特徴付けるものとして、「運命の輪」と呼ばれるスフィア盤みたいなやつに「インガ」を配置していき、それがゲームに影響するというギミックがある。出目をその場限りのものでなく後々まで効果を残すものにするというのは興味深い試みだ。
運命の輪はそれぞれ領域が色指定されておりダイスの出目によって置く場所が決まる。判定のダイスで2個以上を振った場合、1個をインガ用のダイス、1個を判定の達成値として選ぶのである。置かれたインガの数によって領域が少しずつ解放され、その解放された領域の色や個数によってスキルが発動する。1の出目で置かれる黒の領域だけはデメリットで、その解放度の数だけ目標値が上昇する。
これ、3個振る場合はいいが、2個だと途端にジレンマに苦しむこととなる。いずれかが1だった場合、判定の成功を優先するか、インガに黒が置かれるのを回避するか……。なおダイス1個だとインガは増えないがそもそも判定が厳しいことになる。ファンブルのデメリットも結構イタかった。

見た目もかなり心をくすぐる運命の輪。オフセッションのときは置くインガにバトスピのコアとか使うと雰囲気が出るかもしれない。

TRPGは今、神話になる

背景世界は何やら色々な用語が掲載されているが、体験版ではそこまで深く突っ込まれないためあまり気にすることはなかった。製品版ではPCの立ち位置がどうなるのか気になるところ。
大まかな流れとしては、最近流行の「神話をグループ分けしそれぞれに属性を当てはめる」というやつ。と言っても体験版では「ゼウス」「アマテラス」「バステト」「クトゥルフ」で固定だったが今後ツクヨミやラーなんかも出るんだろうか。PTの組み方がパズドラっぽくなりそうである。
なお、神々のグループのことを神群と呼ぶらしいのだが、「クラスタ」とルビが振ってある。ギリシャクラスタとかエジプトクラスタとか急に俗っぽくなって笑える。神話クラスタ?知らない子ですね。

体験版にはセッションに使うコマもついてくる。どれがどの神話か考えるのも楽しい。体験版にはいない第5の神話も参戦するのだろうか。

シナリオの作成難度は高め?

シナリオの進行は体験版なのでチュートリアル感満載だったが、それでいて非常に凝ったギミックが搭載されており、あれやこれや考えながら進められてとてもよかった。いわゆる裏ハンドアウトシステムのようなものが採用されており、その裏側はPC本人すら見ることができず、調査によってそれが少しずつ明らかとなる。そして独特のボス戦(冒険企画局によくある「プロット」システムの拡張版のような内容)と相俟ってとてもユニークなものとなっている。
が、これをいざオリジナルで作ろうとなるとバランスが難しいんじゃないだろうかという懸念がある。ボスのデータも部位ごとに調整が必要で、それぞれをうまいことリンクさせようと思うと感覚を掴むまでが大変そうだ。製品版では何らかの指標のようなものが示されるとうれしい。

ボス戦ではスキル(アマデウスにおいてはギフトと呼ばれる)を駆使して戦うこととなる。「コスト」は運命の輪のそれぞれの色の解放度を意味する。ゼウスの「雷霆」が強かった。

総括

体験版ゆえのゲームバランスの危うさ(クトゥルフの子がなんかただただ不憫なだけだった、など)もあるが、それを差し引いても、初見のプレイでギミックを味わいながらしっかりと楽しめ且つ大きな混乱もなかったという点はすばらしい。いくらでも発展できるインガシステムもありポテンシャルは高いシステムといえる。
先述のとおりシナリオ作成の難もなくはないが、わりと大味な世界観なので、背景を作りこむというよりはスーパー戦隊シリーズのような1話につき1体怪獣が出るくらいのカジュアルなノリでさくさくプレイする感じでも大いに楽しめそうだ。