ダブルクロス:Dロイス研究・バックトラック編

 ダブルクロスというゲームは少し特殊で、滅多なことでは全滅エンドを迎えない代わりにバックトラックの失敗という実質的な死亡(=キャラシート没収)が存在する。倒して終わりではなく倒した上で日常に戻るまでがひとつのシナリオなのだ。ゆえに、いかにして「無理をせず倒すか」という最大公約数的な解を求め続けることになる。


 そもそも取得できるロイスの数には限りがあり、また攻撃を行えば行うほど侵蝕率が上がる以上はクライマックス戦闘をだらだらするわけにはいかない。ボスは可能な限り速やかに倒す必要がある。かといって攻撃一辺倒だと手数が多いタイプのボスだった場合あっという間にロイスが削られて……みたいなバランスを考えることは実はあまりなくて、それより戦闘が長引くほうがやばいのでフルアタックタイプのキャラは実際多い。これが「ボスを早く倒すことで全体の負担を軽減する」スタイル。
 逆に、防御に振ることで少しでもロイスを節約しようという考えもある。正直どこまで硬くすればいいのか、ボスは装甲貫通持ってるんじゃないか、そもそもボスは超火力なのでガードしても意味ないんじゃないか、あたりの懸念もあるがその場合むしろGMの方が悩む。攻撃一辺倒のほうがGMとしては扱いやすい。どの程度防御に振るかは難しいところだが、少なくとも攻撃もできて且つ素手パンチ以上の最低限の火力はないとやっていけないんじゃないかと個人的には思う。公式リプレイの『デザイア』や『アカデミア』にはほぼガードしかしないキャラが存在するが、PT全体との兼ね合わせを考慮したうえで選択しないと色々とぐだぐだになる気がする。

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 閑話休題。上記2つはそれぞれ「早く倒す」「死ににくくする」という真逆の方法で生存戦略を取っているが、より根本的な方法が存在する。つまり、侵蝕率をどうにかしてケチれないか、あるいはバックトラックをうまくできないかという話だ。これらは生還の確率を上げるのはもちろん、経験点を取得しやすくなるという利点もあるのがよい。PTに貢献しづらいのが難点だが……その分カバーリングやサポートができると考えよう。
 キャラビルドレベルでエフェクトの取得を最小限に抑え、残りをエフェクトレベルの上昇やアイテム、技能に振るという選択肢は大いにアリだ。戦闘は地味だが堅実な強さがある。これはキャンペーンが3話4話と続いていく際にエフェクトを横に伸ばせなくなったとき誰しもが通る道でもある。
 そして今回のテーマである生還タイプのDロイス。だいたいどれも侵蝕率-15くらいの効果が期待でき、メモリーが15点につき-10なので、経験点に換算すると20点くらいに相当するんじゃないかと思う。思いつく限り以下に挙げてみる。

No.8 生還者

 バックトラックダイスが3つ増える。期待値で言えば16.5点マイナス。心底地味で、これを取るくらいなら少し我慢してメモリーを取ろうという気がしないでもないが、差し引きでロイス2つ分増えていると考えると多少の無茶ができそうな気もしてくるから不思議だ。本末転倒だが、状況によってはタイタスを攻撃に回してもよいかもしれない。2個使うと賢者の石もどきにもなる。*1

No.14 安定体

 バックトラックのダイスを振りなおせる。振りなおす数はもとの残数に依存するため、生還者と違ってロイスが枯渇しているとそもそも効果がない点が大きな違いである。何度振りなおそうとも期待値を大きく下回っていては意味がなく、つまるところ事故防止くらいの役割にしかならない。

No.27 奇跡の血

 エフェクトを3シンドローム分組み合わせると侵蝕値がオトクになる。リンケージマインドでエラッタがかかり-4になったので俄然使う意味が出てきた。前提として最低3種類は組み合わせられるエフェクトを取得しなければならないため、経験点側の調整がわりとシビアだが、ミドルから有効で何度でも使えるためシナリオが長引けば長引くほどとってもオトクである。例を挙げれば、ミドルで2回、クライマックスで3回適用したらそれだけで20点分得したことになる。ビルドに自信があるアナタに。

No.39 異形

 エグザイル専用。メジャーの侵蝕率-[LV+2]。初期状態なら-3で、3回しか使えないので実質-9〜12。奇跡の血と違ってエフェクトの経験点をある程度ケチれるが、結局聖痕に5〜10点振らないと最大効果を発揮できないのでどっちもどっちか。ライフロスのデメリットが地味に痛い。あとフレーバー面がなかなか悪いことできそうである。

No.55 不死者

 100から119%でもジャーム化しなくなるFH専用のDロイス。実質マイナス20。タイタスを攻めに使えなくなるデメリットつき。生還者や奇跡の血と違って「結果が固定で」「侵蝕率を高い値でキープできる」ので、120%エフェクトをぶっ放すなどの無茶がしやすくなる辺りさすがFH。卓を選ぶが、露骨に強いDロイスのひとつ。

No.G02 正義を為す者

 ちょっと毛色が違うがここに分類してもいいと思う。HPが最大値まで回復するのでHPが高く一発は耐えられそうなキャラが使うとロイスをちょっとだけ節約できる。なによりフレーバーがいい。

No.HR07 戦友

 椿をRECにするとバックトラックダイス+4個で生還者の上位互換となる。しかも(ダブルDロイスルールなら)他のDロイスと併用できる。これに限ったことではないが、椿まわりのリレーションアイテムやら何やらが妙にハイスペックな気がするのは何故だろうか。

No.HR14 原初の子

 選択したエフェクト2つの侵蝕値を下げ、効果を上げる。地味に強い。よく言えばいいとこ取り、悪く言えばどっちつかず。コードウェルをRECにする必要があるのでシナリオに絡めづらい。

No.HR15 悪夢

 不死者の上位互換。ただしFHアイテムを取得できる旨のテキストがない。UGN用不死者とでも呼ぶべきか。ヨハンくんと因縁がある設定がつく。

No.HR25 人工精霊

 エフェクトひとつの侵蝕値を-2。レネビ専用。たいへん地味で、レネゲイドビーイングなのでオリジンと侵蝕率基本値を加味すると差し引きゼロくらいのような気もする。ミユキをRECにするとダイスが増える。

総括

 並べてみるとやはり不死者が異様に強い。悪夢なんてUGNでも使えるDロイスも追加されたのでヨハンくんを使えそうなら取ってみてもいいかもしれない。

*1:野暮な表現になってしまうが、賢者の石は1D10侵蝕率が増えるので、倍振りを考慮しない場合実質ロイス枠2個分を食うDロイスと言える。そう考えると、生還者を取ってタイタスの効果でCr値を下げたほうが結果としてはオトクなのである。もちろんDロイスにはフレーバー的な意味もあるから一概には言えない。