ダブルクロス:アイテム検証・武器とヴィークル、データとフレーバー(ウェポンケース、コーリングシステム)

 最初に言っておくと、今回のネタは全体的にあやふやなアイテム関係ルーリングの中でも特に何とも言えない部分である。とはいえ、前提となる情報自体が共有されていないケースも多いと思われるので、それらをすり合わせるためのメモのような意味合いでこれを記す。
 なおここでは「データ」をゲーム上定められたルール上の処理、「フレーバー」を、ルールに定められていない演出における処理を示す語として用いる。

用語の未定義

 ダブルクロスの用語は定義のないものが多い。マスタールールがないためである。それに代わる、いわば大本の根拠となるはずのルールブックにおいても、サプリメントやHPでルールが後から追加や修正されるなどフォーマットが統一・整理されていないため、用語ひとつ取ってもその意味を正確に把握することは極めて困難である。極端な例で言えば「ダイスペナルティ」あたりだろうか。 ⇒ ダブルクロス:ダイスペナルティとは何か/ダイス減少無効の範囲はどこまでか - Hide Left Hand

 アイテム周りにおいても例外ではない。「取得」「所持」「常備化」「入手」「購入」あたりの語はルールや効果のテキストに当然のように出てくるが、その意味自体を解説する項はほぼない。このあたりのルールは掘り下げればいくらでもホコリが出てくるが、趣旨から外れるので一旦置いておく。ここで取り上げたいのは「所持」と「取得」だ。

取得はしているが所持していないアイテム

アイテムの取得
 キャラクターは衣服や財布、携帯電話などさまざまなツールやアイテム類を所持している。キャラクターによっては自宅や自動車など所持できないものも所有していることだろう。
 ここではキャラクターがどのようなアイテムを持っているのかを決定する。
所持品と装備品
『DX3』ではキャラクターが所持する武器や防具、携帯電話などのアイテムを所持品と装備品に分ける。所持品は、キャラクターが持っているアイテム全般を意味する(つまり、装備品を含む)。
(『ルールブック1』p.89)

 なんとなく読み流してしまいそうな文章だが、「所持できないものも所有していることだろう」と冒頭で言っておきながら、それをどう処理するかについてのフォローがない。p.173「アイテムの装備と所持」の項でも出てこない。……つまり、取得したアイテムのうち、普通に持ち歩くことができないアイテムに関する記述がまるっと抜け落ちている。
 これは私も指摘されるまで気づかなかった部分である。“データ”としての「アイテム」は取得した時点で自由に扱える代物なのだが、四次元ポケットがあるわけでもなし、それを“フレーバー”としてどう実用に持っていくかがプレイヤーに丸投げされているわけだ。「乗用車」(R1 p.178)に搭乗するにはマイナーアクションが必要というけど、そもそもどうやってそこまで持っていくんだよ、と。もちろん、運用上はGMと相談して好きにすればよい。執事が乗ってきてくれるとか、空からコンテナで落ちてくるとか。
 そしてこの「取得しているが所持していない」アイテム問題、厄介なことにフレーバー以外の部分にも引っかかってくる。『上級ルールブック』に記述のある「アイテムの破棄」である。アイテムを破棄し、足元に落ちるというルールはあるが、それが「拾える」とだけありルール上どのように扱われるかが一切書かれていない。常備化情報は生きるのか?「ウェポンケース」(R1 p.180)は有効なのか?等々。これはちょっと別の記事で書きます。

コーリングシステム

 察しのよい読者の方ならここまでの書きぶりでなんとなくわかっていたかもしれないが、これらの「取得しているが所持していない」アイテムに関する不明瞭さは、とあるアイテムの存在意義を発生させうる。そう、「コーリングシステム」(BC p.71)だ*1
 私もこれを初めて見たときは「いやヴィークルは最初からマイナーアクションで乗れるだろ」と突っ込み倒したものである。結論から言うと、この「コーリングシステム(BC)」は、ガレージや秘密基地に置いてあるヴィークルをその場に即座に出現させることのデータ的な担保が得られるというアイテムなのである。イージーエフェクトのようなものとでもいえばよいか。別にこんなものがなくとも先述のようにヴィークルを持ってくる演出は考えられるが、これを使えば問答無用、GMも一発で納得、という代物。何せ「その場所へかけつける」とテキストに書いてあるのだから。

ウェポンケース

 アイテムとフレーバーの兼ね合いで言えば「ウェポンケース」(R1 p.180)もたびたび話題に上がる。「日本刀」(R1 p.177)を抜き身で持ち歩くのはまずいので普段は隠しておき、「ウェポンケース」の効果でオートアクションで装備すればよい、というやつだ。
 まず抜き身で持ち歩くことに関して言えば、これを明確に不可とする記述はない。

 『DX3』において、アイテムを装備するということは“そのアイテムを使えるように準備している”ということを指す。例えば、日本刀ならば鞘から出して構えている状態である。
 アイテムを装備していることによって起こるペナルティは、基本的にないものとする。ただし、GMが何らかのペナルティを課した方がよいと感じた場合はその限りではない。
(『ルールブック1』p.173)

 この「アイテムを装備していることによって起こるペナルティ」というのが、フレーバー的な意味なのか、データ的な意味なのかは不明だが、ないというのだからないのだろう。運用上は「日本刀」を装備したままミドルフェイズを進めても何ら問題はない。細かい部分を気にしすぎると端的に面倒くさいのでそういった手間を省くための措置と考えられる。どうしても気になる場合でも、別に町をうろつく間は所持しておいて戦闘前に抜けばよいだけである。
 じゃあ「ウェポンケース」は完全にフレーバーアイテムなのかというとそうでもない。例えば「トツカ」(PE p.38)のような装備中に【行動値】に影響のある武器を攻撃の直前にオートアクションで装備すれば最初の1回はデメリットを無視できる。他にもオートアクションでの装備を利用した小技がいくらか存在する。

『2nd Edition』の残滓

 武器を持って出歩く話をすると、たまに銃刀法改正の話題を持ち出す人がいる。これは『2nd Edition』(以下「DX2」)の頃にあった設定で、レネゲイドウィルスによって治安が悪くなった結果、個人による武器の携行が認められるようになった、という趣旨のものだ*2。版上げに伴いその記述は失われている(と思う)。とっつきやすくするために設定を現実世界に寄せたものと考えられる。
 これについては、「『DX2』と『DX3』はシステム上全く別のゲームである」というシンプルな答えに帰着する。『DX3』のルールブックに載っていないものは『DX3』の世界にないとする方がよい。
 ちなみに、『DX2』のアイテムには「隠匿」というステータスがあり、アイテムを相手に見つからないようにしたい場合、キャラクターの持つ<隠密>技能(当時、隠密状態になるのに判定が必要だった)を使用して隠す必要があった。「バイク」や「高級車」は「隠匿:不可」となっており、隠して持ち歩くことはできなかったのだ、が……この「隠匿」の使い道がルールブックに書かれていないので、これも単なるフレーバーだった可能性がある。公式リプレイでも使ってるの見たことない。潜入捜査でもしない限り発生しないイベントだろうしなあ。

まとめ

 ないルールはゴールデンルールで補うしかない。ましてフレーバー要素の濃い部分なのでGMとうまく相談してよろしくどうぞ、だ。
 個人的な感想としては、一応「コーリングシステム(BC)」の存在意義はなんとなくわかったけど、別にそれだったらオートアクションとかセットアッププロセスで搭乗できるようにすりゃあ良かったじゃんと思う。単純にデザインが弱いよね。

*1:効果はともかく完全同一名称なのはいかがかと思う。

*2:ダブルクロス the 2nd Edition』p.33他

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